KIRIYASIDE(補完創作話)
第21話に至るまでのキリヤのほのかに対する心境変化。人間社会で「スポーツも勉強も出来て、愛想もいい」とくれば、大抵の女が興味を示すだろうと踏んだ彼を初対面で軽くあしらった彼女。1日中話せる機会が来てどう取り入ろうかと思ったものの農作業が面倒で愛想振りまくのも馬鹿馬鹿しくなった彼。         
意外にもほとんど素のままで話したら、天然系な(笑)彼女は彼の皮肉にも気付かず明るく接してくれた。以後、彼にとって彼女はそんなに「気を使わなくていい存在」であり、彼が彼自身の性格をさらけ出して人付き合いしていく「きっかけ」になったのではないでしょうか?

・・・いくら思い巡らせても、彼の彼女に対する思いの変化は他人にはわかり得ません。きっと彼も初めて抱いた感情で、どう形容していいかもわからないでしょう。
ただ、「かけがえのない大切な存在だった」ということだけしか・・・。

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農作業? 収穫収穫!(キリほのキャベツ組)

農作業?
「さ、キリヤ君、行くわよ。」
「・・・先輩、いいんですか?」
「何が?」
「キャプテン・・・藤村先輩のことですよ。彼氏なんでしょ?・・・なのに何でわざわざ美墨先輩と組ませちゃうんですか(あの女がヤツの事好きだってアリアリなのに・・・)?」
「ああ、それはよく言われるけど誤解よ。ただの幼馴じみ。それに、キリヤ君とはこないだ駅のホームできちんとお話出来なかったから気になっていたの。あの時はゴメンなさいね。ところで何のお話だったのかしら?」
「・・・ああ、それはもういいんです。(どうせ適当だったし、今日こそ取り入るチャンスだし)」
「よくないわよ。あの時科学部がどうとか言ってたじゃない?もしかして科学に興味あるの?」
「えっ?!・・・ええまあ(そういうことにしとくか)。でも、サッカーと兼部は大変ですしね。・・・それに男子部には『科学部』無いみたいなんですよ。立ち上げるのもめんどくさいんで、もういいです。」
「それは残念ね。そうだ!もし良かったら顧問の先生にお話して、キリヤ君が女子科学部の活動に時々参加できるようあたってみましょうか?皆と一緒ならきっと楽しいわよ。」
「えっっあっいえっ(余計な事をっ)!!!・・・サッカーも正直キツいんでちょっと顔出せそうにありませんから!すみません!」
「そう?ホントにいいの?」
「ええ・・・お気遣いホントすみません。ご丁寧にどうも(苦笑)。」
「いやぁだ。キリヤ君たら改まって。あ、そろそろキャベツ畑が見えてきたわね。」

(・・・なんだこの女、相当なおせっかいだな。最初はもっとドライなヤツかと思ったのに。しかしホント人間の“玉転がし”に付き合うだけでカナリ疲れるんだよなー。藤村とかいうヤツは口さえ開けば「チームワーク」だし。これ以上“皆で仲良く”なんて茶番、やってたまるか!!)


「キャベツキャベツキャベツ・・・これ全部・・・ウソだろ?」
「こらーっ!!キリヤ君、サボっちゃ駄目!!!」
(やってらんないよ。何この人・・・ついていけない。)


農作業? キリヤのとまどい

ヘンな女だよな
キャベツの大切さを語ったり
友達のレンアイ世話したり
ミミズやムカデに謝ったり
・・・この僕にも、キャベツ以上におせっかい焼きやがる
触れた手がやわらかくて
「戦士」だなんて思えなくて
何だよアイツ、調子狂うなあ・・・
農作業?


農作業? 帰りの電車の中で(ほのか、ウンチク出番なし)

農作業?
「キリヤ君、そっち行ってもいい?」
「いいですけど。そっちはどうしたんですか?」
「私が本を読んでる間に皆寝ちゃったみたい。顔をあげたら・・・ホラッ。」
「ハハッ(ありえない寝相)。ホントだ。」
「・・・何見ているの?」
「別に。星がいっぱい出ているな・・・って。」
「わぁーホント。きれいね。あ、あっちに見える星、わかる?」
「おとめ座の“スピカ”でしょ。北斗七星からうしかい座のアルクトゥルス、スピカをたどって“春の大曲線”。」
「よく勉強しているのね。神話とかも詳しいの?」
「神話もまあ知ってますけど。・・・昔語りにも窺がえる闘争の歴史には興味ありますね。先輩は『人と人とは協力しあって・・・』って言うけど、戦争の繰り返しじゃないすか。支配した者勝ちの世の中なんじゃないですか?結局。『奪い合い、諍い合う』。それが“人間”の本質なんじゃ・・・」
「そんなことないわよ!!大切な物を守るため、意に反して始まってしまった戦いだってあるの!そういう戦いを乗り越えて人と人は理解しあってきたんじゃない!!戦いは決して問題解決の一番の手段とはいえないけれど、でも少なくとも“私となぎさ”は好きで戦ってなんかっ・・・!!(はっ)」
「・・・・・・。」
「・・・ごめんなさい。どうしちゃったのかしら。変よね、私。」
「いや、僕もヘンな事言っちゃってすみません。僕はサッカーでも勉強でも『勝ちたい』って気持ちが強すぎるのかな・・・。先輩も学年トップだから、てっきりそうかと思ってました。」
「・・・私はただ、好奇心旺盛なだけよ・・・(弱々しい笑み)。」


(『戦いは嫌い』、か。“伝説の戦士”らしからぬ甘さだな)


グラウンドの片隅で〜キリヤの興味と疑問〜

(「農作業」の翌々日。下校時刻、ほのかが科学部部室より男子部グラウンドを眺めるとしゃがみこんでいるキリヤを見つけ、駆け寄ってみる)
「大丈夫?どうしたの?」
「あ、先輩。練習中にこれ見つけたんで、ちょっと見てただけですよ。」
「ひまわりね!こんなところで芽を出して。危なくない場所に植え替えてあげましょうよ。」
「・・・。」
「なぁに?」
「いや、けっこう生命力ある花だなって。でも、こんな花ひとつ守ったってキリが無いですよ。他にもありそうだし。」
「でも見かけたら放っておけないじゃない。それに、もしきれいに咲いたらきっとすごくうれしいわよ。キリヤ君だって気になったからわざわざ見に来たんでしょ?やさしいのね。」
「やさしい?この僕が?」
「ええ。ホラッ、手伝って!」

(・・・違う。僕はただちょっと考えていただけだ。この花もこの女も、今この場で片手でひねることは容易い。けれど、なんでこうも得体の知れない力を感じるんだろう?戦闘の時もそうだ。ギリギリまで追い詰められてもひるまない。どこからそんな力が出てくるんだろう?僕は今まで、弱い奴なんかに存在価値は無いと思っていた。だけど、この世界の生き物は、この人は、どうしてお互い助け合ったり、庇い合ったり出来るんだろう・・・。闇に生きる僕らでは生み出せない力。これは一体・・・?)


中間テスト後の仲直り〜前編〜

放課後
<下校の方向が一緒になってお互い先日の聖子ちゃんの件の非礼を詫びたのち>


「今日は美墨先輩と一緒じゃないんですね。・・・図書館行くんですか?」
「ええ。キリヤ君も?」
「ええまあ、『心理学』の本でも読もうかと思って。でも本だけじゃわかんないもんですね。“ヒト”の気持ちって。」
「やっぱそういうのはいろんなタイプの人と触れ合って初めてわかるものだから。私もなぎさと出合ってわかったこと色々あるし。キリヤ君もそういう経験、あるんじゃない?(ニコッ)」
「(笑顔にドキッ)そ、そうですね・・・。」


中間テスト後の仲直り〜後編〜

<図書館にて、しかめつらしく本を読むキリヤに対し>


ほのか:(何か出来ることあるかしら?・・・よーし!)
「キリヤ君。」
「ブッ・・・何スか、その顔?」
「“顔面体操”っていうんだって。なぎさがよくやるの。『難しく考えてばかりいるとハゲるぞ!』って。お父さんの受け売りらしいけど。」
「・・・へえ。」
「キリヤ君も考えに行き詰っているようなら、ちょっと外出てお話ししない?」
「いいですけど。先輩の勉強は?」
「もう借りる本決めたから。それよりまた“先輩”に戻ってるわよ。名前で呼んでもいいって言ったのに。科学部のコたちもみんなそうだし。」
「ああ、そうでしたね。」
「うん。・・・なぎさともね、名前で呼び合うようになってから距離がぐっと縮まったから。キリヤ君も名前で呼び合える友達、この学校でも沢山出来るといいね。」
「(クスッ)じゃ、ほのかさんが“きっかけ”ってことで。」
「・・・そうね!(ホッとした笑み)」

キリヤ:(・・・僕とちゃんと仲直りしたかったってことか。なんだ、この人、第一印象と違って結構簡単に取り入ることが出来たよなぁ。・・・でも、なぜだろう?この人といると何だかとてもあたたかい・・・)


※仲直りの一コマを補完しつつ呼び名が「ほのかさん」になっているわけを簡単に理由付けしたかっただけ


・・・補完話は次ページに続きます
図書館で


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